多くの歯を一度に失ってしまった場合、かつては「入れ歯にするしかない」と考えられていた時代がありました。しかし現代の歯科治療では、CT診断・サージカルガイド・口腔インプラント学に基づく補綴設計などの進歩により、「なるべく自然に」「しっかり噛めるように」「見た目も整える」といった患者さんの希望に、より柔軟に応えられるようになっています。
調布歯科・矯正歯科では、片あごの広範囲にわたって歯を失われた方に対し、片あごに7本のインプラントを埋入し、12本分の上部構造(被せ物)を支えるという補綴設計をご提案するケースがあります。本稿では、調布駅・府中・三鷹・国領・つつじヶ丘・布田エリアからご相談に来られる患者さんに向けて、この治療設計の考え方・流れ・費用・期間・通院回数・主なリスクをわかりやすく整理します。
多数歯欠損の患者さんが抱える悩み
歯を1〜2本失った場合は、ブリッジや単独インプラントで対応可能なケースが多くあります。しかし、片あご全体・あるいは5〜10本以上の歯を失った場合、選択肢は大きく変わります。総入れ歯や大きな部分入れ歯では、噛みづらさ・違和感・発音障害・見た目の問題に悩む方が少なくありません。
当院のインプラント外来でよくいただくお声には、以下のようなものがあります。
- 「入れ歯を作ったが、痛くてうまく噛めない」
- 「会話のときに入れ歯が動いて気になる」
- 「硬いものや繊維質のものを噛みたい」
- 「食事の温度や味を感じにくくなった」
- 「歯のない部分が広く、ブリッジでは対応できないと言われた」
こうしたお悩みに対しては、「失った歯すべてに1本ずつインプラントを入れる必要はない」という考え方が重要になります。適切に位置と角度を設計すれば、7本のインプラントで12本分の歯を支える設計が成立するケースがあります。
片あごに7本——配置と補綴設計の考え方
この治療法では、前歯部に3本、左右の臼歯(奥歯)部位にそれぞれ2本ずつ、合計7本のインプラントを埋入します。そのうえで、上部構造(被せ物)を「前歯ユニット」「左右の臼歯ユニット」の3ブロックに分けて連結することで、噛み合わせの力を効率よく分散させる設計としています。
前歯部(3本)
前歯は審美性だけでなく、発音や口元の表情に大きく関わる部位です。力学的に過度な負担が一点に集中しないよう本数と位置を調整し、自然な歯並びと調和した補綴設計とします。3本のインプラントで前歯6本分(中切歯・側切歯・犬歯×左右)を支えるユニットを形成します。
左右臼歯部(各2本)
臼歯部は咀嚼の際に大きな力がかかる部位です。1本あたりの負担を抑えるため、左右にそれぞれ2本のインプラントを配置し、3歯分の上部構造(小臼歯・第一大臼歯・第二大臼歯)を支える設計とします。本数を分散させることで、特定のインプラントへの応力集中を避ける狙いがあります。
なぜ3ユニットに分けるのか
7本のインプラントすべてを1本のロングブリッジで連結するのではなく、「前歯ユニット」「右側臼歯ユニット」「左側臼歯ユニット」の3つのブロックに分けて補綴設計することで、将来的なトラブルへの対応がしやすくなります。
- 万一トラブルが起きたとき、影響を受けたブロックのみ取り外して対応できる
- 噛み合わせの微調整がブロック単位で可能
- 加齢や顎骨の変化に伴う補綴物の作り替え・修正がしやすい
- 清掃時のフロスや歯間ブラシが通しやすく、衛生管理がしやすい
「しっかり噛める」だけでなく、「長く安定して使えるよう備える」という観点から設計された治療法です。
治療の流れと所要期間
- 初診カウンセリング:これまでの治療経過、現在のお悩み、ご希望、既往歴、服用中のお薬などを丁寧にうかがいます。
- 精密検査:歯科用CT撮影、口腔内検査、歯周病検査、噛み合わせ検査、口腔模型の採取などを行います。
- 治療計画のご提案:CTデータに基づいた埋入シミュレーションを行い、本数・位置・角度・骨造成の必要性・上部構造の素材・費用・期間・主なリスクをご説明します。複数の選択肢(総入れ歯・部分入れ歯との比較)も併せて提示します。
- 術前処置:必要に応じて、残存歯のむし歯治療・歯周病治療・抜歯などを進め、口腔内の環境を整えます。
- インプラント埋入手術:局所麻酔下で7本のインプラントを埋入します。骨量が不足する部位では、骨造成(GBR・サイナスリフト・ソケットリフトなど)を併用します。ご希望の方には歯科麻酔科医による静脈内鎮静法も併用可能です。
- 治癒期間:インプラント体と顎骨が結合(オッセオインテグレーション)するまで、通常3〜6ヶ月の治癒期間を設けます。この間は仮歯を使用して食事・会話に支障が出ないようにします。
- 上部構造(被せ物)の装着:骨結合が確認できた段階で、最終的なセラミックや高強度ジルコニアなどの上部構造を装着します。
- 定期メンテナンス:3〜6ヶ月ごとの定期検診・プロフェッショナルクリーニングを継続します。インプラント周囲炎の予防が長期予後のカギとなります。
治療開始から最終装着までの全体期間は、骨造成の有無や個人の治癒経過により、概ね6ヶ月〜1年6ヶ月程度を見込みます。
治療費用と保険適用について
本治療は公的医療保険の適用外(自由診療)となります。費用は症例によって大きく異なりますが、当院での目安は以下の通りです。
- インプラント体(1本あたり):40万円〜50万円(税別)
- 上部構造1ユニット(3〜6歯分):50万円〜80万円(税別)
- 歯科用CT撮影:11,000円〜(税込)
- 骨造成(必要時):5万5,000円〜33万円(税込)
- 静脈内鎮静法(ご希望時):5万5,000円〜(税込)
- 片あご7本+3ユニット補綴の総額目安:380万円〜500万円程度(症例により変動あり)
当院では、医療ローン(デンタルローン)のご利用にも対応しています。お支払い方法・回数はカウンセリングで個別にご相談ください。
「入れ歯にしたくない方」にこの治療が向いている理由
入れ歯(総義歯・部分義歯)は、保険でも作製でき、初期費用を抑えられる選択肢です。しかし、患者さんから次のようなお声をいただくことがあります。
- 装着時の違和感が強く、慣れるまで時間がかかる
- 食べ物の温度や味を感じにくくなる
- 笑ったときにバネ(クラスプ)が見えることがある
- 噛む力が天然歯の30〜40%程度にとどまる場合がある
- 顎骨の吸収が進み、定期的な調整・作り替えが必要
- 会話中に動くことがあり、人前で気になる
こうした制限から、「もっと自然に噛みたい」「動かない歯がほしい」と希望される方が一定数いらっしゃいます。一方で、7本のインプラントを用いた固定式の補綴では、以下のような特徴が期待できます。
- 顎骨に固定されるため、装着時の違和感が少ない傾向にある
- 食べ物の温度や味を感じやすい(粘膜を広く覆わないため)
- 金属のバネが見えない審美設計が可能
- 咀嚼力が天然歯に近づく傾向にある
- 適切なメンテナンスを継続することで長期的に使用しやすい
もちろん、すべての方にインプラント治療が適しているわけではありません。全身疾患・顎骨の状態・喫煙習慣・予算・通院可能な頻度などを総合的に検討したうえで、最適な選択肢を一緒に考えていく姿勢を大切にしています。
調布歯科・矯正歯科のチーム体制
当院では、インプラント治療を担当する歯科医師(日本口腔インプラント学会所属)、補綴を担当する歯科医師、歯科麻酔科医、歯科衛生士、歯科技工士が連携してチーム医療を行っています。CTデータをもとにしたサージカルガイドの使用、咬合(噛み合わせ)の精密分析、術後のメンテナンスプログラムまで、一貫した治療体制を整えています。
調布駅から徒歩4分という立地から、府中市・三鷹市・狛江市・国領・つつじヶ丘・布田・柴崎・仙川エリアの患者さんに多くご来院いただいています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 7本のインプラントで本当に12本分の歯を支えられるのですか?
A. インプラントの位置・角度・上部構造の連結設計を適切に行うことで、7本で12本分の歯を支える補綴設計が成立するケースがあります。ただし、顎骨の質と量、咬合の強さ、ブラキシズム(歯ぎしり・食いしばり)の有無などにより、本数や設計を変更することがあります。CT検査の結果をもとに、個別に判断いたします。
Q2. 顎の骨が少ないと言われたのですが、治療できますか?
A. 骨量が不十分な場合は、骨造成(GBR)、サイナスリフト、ソケットリフトなどの追加処置を併用することで、対応可能なケースがあります。詳細はCT撮影後の診断で判断します。骨の状態によっては、本数や位置の設計を変更することがあります。
Q3. 治療中、歯がない期間ができてしまいますか?
A. 治癒期間中も仮歯(プロビジョナルレストレーション)を使用していただきますので、歯がまったくない状態で過ごすことは基本的にありません。前歯部については審美的にも配慮した仮歯を装着します。
Q4. 全身疾患があっても治療を受けられますか?
A. 高血圧・糖尿病・骨粗鬆症・心血管疾患などの全身疾患がある場合、コントロール状態によっては治療が可能なケースがあります。かかりつけ医の主治医と連携をとり、安全性を確認したうえで進めます。重度のコントロール不良例では、適応外となる場合もあります。
Q5. メンテナンスはどのくらいの頻度で必要ですか?
A. 基本的には3〜6ヶ月ごとの定期検診とプロフェッショナルクリーニングをお勧めしています。インプラント周囲炎の予防、咬合の調整、上部構造のネジの緩みのチェック、歯周組織の管理など、長期予後のために欠かせない項目です。
Q6. 喫煙していても治療できますか?
A. 喫煙は治癒不良・インプラント周囲炎のリスクを高めることが知られています。治療中は禁煙のご協力をお願いしています。長期的な予後を考慮して、可能な限り禁煙していただくことをお勧めします。
Q7. 府中・三鷹・国領エリアから通院していますが、通院回数の目安は?
A. 治療全体で15〜25回程度の通院が目安となります。手術前後は通院回数が多くなりますが、治癒期間中は月1回程度の経過観察に落ち着きます。通院しやすさを考慮し、当院は平日19時まで・土日も診療しています。
限定解除要件(医療広告ガイドラインに基づく情報開示)
費用:片あご7本・3ユニット補綴の総額目安は380万円〜500万円程度(税別)です。内訳はインプラント体40〜50万円/本、上部構造1ユニット50〜80万円、CT撮影11,000円〜、必要に応じて骨造成5万5,000円〜33万円、静脈内鎮静法5万5,000円〜が加算されます。両あごで施術する場合は、概ね倍額となります。
治療期間:開始から最終装着まで6ヶ月〜1年6ヶ月が目安です。骨造成を伴う場合や、残存歯の処置が必要な場合は、さらに期間が延びることがあります。
通院回数:全体で15〜25回程度。治療後も3〜6ヶ月ごとの定期メンテナンスを継続いただきます。
主なリスク・副作用:術後の腫れ・痛み・内出血、感染、神経損傷によるしびれ(下顎神経・オトガイ神経領域)、上顎洞穿孔・上顎洞炎、インプラント体の脱落、オッセオインテグレーション不全、インプラント周囲炎、上部構造の破損・脱離、咬合性外傷など。喫煙・コントロール不良の糖尿病・骨粗鬆症治療薬の使用などはリスクを高めます。
注意事項:本治療は公的医療保険の適用外(自由診療)です。治療効果や経過には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるとは限りません。定期的なメンテナンスを受けていただけない場合、インプラント周囲炎などのトラブルにより脱落のリスクが高まります。骨吸収の進行や全身状態の変化により、上部構造や治療計画の見直しが必要になる場合があります。
担当:本治療は当院の歯科医師(日本口腔インプラント学会所属)と歯科麻酔科医、歯科衛生士、歯科技工士のチームが担当いたします。
調布歯科・矯正歯科のご案内
当院は京王線「調布駅」中央口から徒歩4分。府中市・三鷹市・狛江市・国領・つつじヶ丘・布田・柴崎・仙川エリアから多くの患者さんにご来院いただいています。インプラント治療がはじめての方にも、丁寧な説明と複数の選択肢の比較を心がけています。「入れ歯にはしたくない」「もう歯を失いたくない」というお気持ちを大切に、患者さんと一緒に治療計画を組み立ててまいります。
診療時間
平日:10:00〜13:30 / 15:00〜19:00
土日:10:00〜13:00 / 14:00〜18:30
休診日:祝日
※最終受付は30分前です。日曜も診療中。
〒182-0026 東京都調布市小島町1-36-16 グレーシア調布301号
TEL:042-444-0872
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監修者:歯科医師 坂巻 良一
